事業承継・M&A

1.事業承継・M&Aのファースト・ステップ

 親族・社員に事業承継するにせよ、M&Aでの売却を目指すにせよ、最初に取り組むべきは「会社を健全な状態に整えて、準備しておくこと」です。そして、この準備には一定の時間を要し、いざ事業承継・M&Aを行う段になって急に整備するのは困難です。
 以下では、この準備のファースト・ステップとして、中小企業を念頭に、簡易チェックリストで自社の現状を確認することができるようにしています。(なお、以下では、中小企業によくあるコアな問題点を列挙していますが、網羅している訳ではありません。)。 

          チェック項目         リスクの内容
□ 株式の1/3以上が、親族・役員・従業員などの分散した状態で保有されている。
【重要度:大】
 (株式が散らばっていると、特別決議(定款変更や合併など)を阻止されたり、承継時に買い集める費用・手間が膨大になります。特に、M&Aの場合、少数株主が存する会社を譲り受けることそれ自体を断念することも多いです。リスクの分水嶺として1/3としましたが、本来的にはこれを100%集約しておくのが望ましいです。)
□ 株主総会議事録や取締役会議事録を作成していない。
【重要度:大】
(過去の決議事項の法的有効性が疑われます。特に、M&Aの場合、買い手が対象会社をデューデリジェンス(買収監査)する際に、致命的な低評価を受ける要因となります。)
□ 主要な取引や雇用に関して、契約書を作成していない、または、5年見直していない。
【重要度:大】
 (個人的な信頼だけで取引がなされていると、事業譲渡などをきっかけに取引が停止になったり、想定外のトラブルが発生しやすくなります。)
□ 未払残業代が発生しないよう、就業規則や賃金規定を適切に整備していない。
【重要度:大】
(未払残業代の債務はいわゆる「簿外債務」であり、かつ、金額が大きくなりえるものです。譲り受ける者はこれを避けようと必ずチェックしてくるところこです。)
□ (事業承継の場合)後継者について、親族や社員等と具体的に協議したことがない。
【重要度:大】
 (承継をする方との認識の擦り合わせが最も重要であり、また、後継者を育てるのにも時間がかかります。)
□  会社と社長個人の資産が混在している。
【重要度:大】
 (承継の対象となるか否かを明確化しておく必要があります。また、会計の透明性が欠如しているとみなされ、M&Aの場合、買収側から敬遠されたり税務上・会計上のリスクを指摘されます。)
□ 株主名簿を作成していない、または、実態と乖離している。
【重要度:中】
(誰が本当の株主かが曖昧になり、承継手続きを進められなくなったり、株主権の主張を巡って紛争化します。)
□  主要な取引先・顧客との関係が、社長個人の人脈や信用に依存している。
【重要度:中】
(社長が退任した途端に売上が激減するリスクがあり、M&Aの場合企業評価が大幅に下がります。)
□  技術や業務の重要なノウハウがマニュアル化・明文化していない。
【重要度:中】
(業務が属人化し、引き継ぎがスムーズにいかないため、事業の継続性が損なわれます。)
□ 主要な取引や賃貸借などの契約書を締結する際、COC条項や競業避止義務条項が入らないように留意していなかった。
【重要度:中】
(承継やM&Aを行う際に、取引を中断されるリスクがあります。)
□  定款を20年以上見直していない。
【重要度:小】
(現行の会社法に適合していない恐れがあり、株式譲渡制限などの規定が最新の事業承継ニーズに対応できなくなります。)
□ 取締役に、実際には経営に参加していない名義だけの親族や知人が登記されている。
【重要度:小】
(承継時やM&A時に退任手続で揉めたり、解任に伴う損害賠償請求などの法的トラブルに発展するリスクがあります。)
□ 会社と経営者個人との間に、貸付・借入・資産利用などの取引がある。
【重要度:小】
(承継時や売却時に精算を求められ、社長個人の資金繰りや会社の財務を圧迫します。)
□ 融資に対する社長の個人保証が残っている。
【重要度:小】
(承継者が保証を引き継げず破談になるケースがあり、経営者自身の引退後の安心を脅かすことがあります。)

2.ご相談と料金

 【重要度:大】の項目に1つでも当てはまる場合、あるいは【重要度:中】【重要度:小】の項目に複数当てはまる場合、事業承継・M&Aの交渉段階で「後継者・買収側とのトラブルに発展する」「取引自体が破談になる」といったリスクを抱えていることを意味します。
 当事務所では、事業承継・M&Aを見据えたリーガルチェックや会社健全化のご相談を承っております。まずは末尾のお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。(ただし、税務・会計については基本的に、貴社の顧問税理士の先生、又は、当事務所の紹介する税理士(別途契約)と相談することとなります。) 

            業務            料金
初回相談(事業承継・M&A)55,000円/2時間
顧問(事業承継・M&A)
(※リーガルチェック及び進行協議含む。)
最初の6か月間×月額110,000円(途中解約可)
その後ご希望の期間×月55,000円

3.事業承継・M&Aに関するよくある質問(FAQ)

Q. 自社株が親族や元役員に分散してしまっています。集約できますか?
A. 株式買取り交渉のほか、定款の変更や売渡請求権の発動などの法的手段を用いて株式を集約・安定させることが可能です。少数株主が集約(譲渡)に反対している場合は、スクイーズアウト(金銭交付による株主排除)という法的スキームを利用できることがあります。

Q. 私は売り手側企業ですが、M&Aの交渉に助言してもらうことは可能ですか?
A. 勿論、可能です。通常、買い手側企業には法務デューデリジェンスのため弁護士や税理士などの専門家が介入し、この際に諸所の契約書のリーガルチェックも受けています。売り手側も株式譲渡契約書などについて、自社に不利となる条項がないかなどの助言を受けることは有意義と言えます。

Q. M&A仲介会社が入っていますが、別に弁護士を立てる必要はありますか?
A. 仲介会社は中立的な立場でマッチングを行うため、必ずしも「自社にとって100%有利な契約」を作ってくれるわけではありません。自社の利益とリスクを守るため、自社側の専門弁護士を立てることは有意義です。

Q. M&Aや事業承継をした場合、従業員の雇用や給与はどうなりますか?
A. 株式譲渡の場合は原則としてそのままの条件で雇用が継続されます。一方、事業譲渡の場合は改めて買い手企業と雇用契約を結び直す手続きが必要です。弁護士が介入することで、従業員の利益を守りつつ、譲渡後の労働条件の不利益変更トラブルなどを未然に防ぐ契約設計を行います。

Q. 会社の借入金について、経営者個人がかぶっている「個人保証(連帯保証)」は解除できますか?
A. M&A(第三者承継)の場合は、クロージング時に買い手企業が債務を引継ぎ、旧経営者の個人保証を解除(または外入れ・差し替え)するのが一般的です。他方、親族内・社内承継の場合は、「経営者保証ガイドライン」を活用し、一定の要件を満たすことで保証解除に向けた金融機関と交渉することになりますが、これは一定のハードルがあるのも事実です。

Q. 買収した後に、隠れた負債やトラブル(簿外債務、未払い残業代など)が発覚したらどうなりますか?
A. 買い手側からすれば、事前の「法務デューデリジェンス(DD)」で可能な限りリスクを洗い出すことが第一です。そのうえで、最終契約書に「表明保証条項(事実に相違がないことを保証する条項)」や「補償条項」を盛り込み、万が一買収後に隠れたリスクや未払い債務が発覚した場合には、売り手側に対して損害賠償や減額請求ができるよう法的に保護します。売り手側としては、このような事態にならないよう、会社の健全化が必要となります。

Q. M&A成立後、元経営者が近くで同じ事業を始めて競合になるのを防げますか?
A. 最終契約書に「競業避止義務(一定期間・一定地域内で同種事業を行わない義務)」を明記することで防止できます。会社法上の規定に加え、対象範囲や期間(例:5年間・全国など)を具体的に設計し、買い手企業の利益を保護することになります。逆に、売り手企業としては、このような競業避止義務を排除あるいは軽い条件となるように交渉することとなります。

Q. 既に仲介会社やマッチングサイトを利用していますが、弁護士を入れるメリットは何ですか?
A. これは構造的に存在する役割分担の話となりますが、M&A仲介会社は「売り手と買い手の双方」から手数料を受け取るビジネスモデルが多く、必ずしも貴社単独の利益を最大化してくれるとは限りません。弁護士は「貴社側」の支援者として、不利な契約条項の排除、潜在リスクの指摘を行い、貴社の権利と利益を100%守る立場で伴走いたします。

Q. 事業承継・M&Aのサポート費用はどのくらいかかりますか?
A. 企業の規模や実施する手続き(株式譲渡、事業譲渡、法務DDの有無など)によって異なります。当事務所では、着手金・月額顧問料・成功報酬(レーマン方式など)の基準を事前にお見積りとして明示し、ご納得いただいてから着手いたします。まずはお気軽にご相談ください。

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